【政治】なぜ日本の左派はリフレを嫌うのか

田中秀臣がツイッターでリフレに批判的な左派をdisっていたのを見かけた。

金融緩和と財政出動で好景気にして失業者を減らそうというのは本来左派の経済政策だというのははてなでもよく目にする。

そして実際アベノミクスは左派政党である米民主党の政策を手本にしている。

それにもかかわらず何故日本の左派はリフレを嫌うのだろうか。

大きな理由としては3つあると思う。

①強すぎる道徳的信念

②政治的未熟さ

③安倍に対するイデオロギー的拒否


■リフレに対する道徳的懸念

まず大前提として、党派にかかわらず殆どの人は資本主義経済というものに対して全幅の信頼を置いていないということがある。

『市場原理』というものに対して皆少なからず道徳的懸念を抱いている。

例えば3・11の震災の時にミネラルウォーターが売り場から消えたが、この時に値上げして売ろうとした業者がいたとしたら激しい非難を浴びただろう。皆が困っているのにそこにつけ込むのは不道徳だからだ。

しかし物が不足すれば価格が上昇するというのは資本主義経済システムの原則であり最大のメリットでもあるのだ。

このように資本主義経済は我々の倫理観と必ずしも一致しない。相反することも多い。


さて、左派の人たちは倫理観が一般の人よりもかなり強い。

社会正義についての道徳的信念に忠実な左派がこの非道徳な動きをする資本主義経済システムを見れば、当然否定的な感情や敵意を抱くことになる。

資本主義経済システムに対する道徳的否定が自由市場に基づいて行われるすべての経済政策を否定することに繋がっていく。

日本の左派が大胆な金融緩和を嫌うのは彼らがその舞台となる金融市場に対して強い道徳的懸念を持っているからなのではないだろうか。


■政治的に未熟な日本の左派

このように非道徳な資本主義経済システムと道徳的信念が強い左派の人たちは元々相性が悪いが、欧米の場合、左派の歴史も古く何度も政権を担当しているためにそこの折り合いはとっくの昔についている。

資本主義経済システムを通じてどの層に恩恵を施すべきなのか。そのためにはどのようなプロセスが正しいのか。目的と手段が明確なのだ。

不況だ?失業者が多い?貧困が蔓延している?じゃあ金融を緩和しましょう、財政出動しましょう、景気を良くしましょう。財源がない?じゃあ国債を中央銀行に引き受けさせましょう。中央銀行の独立性?そんなのはクソくらえだ。なんとしても弱者を助けなければならない・・・まあここまで極端な人はあまりいないのだろうけど。

恩恵を施すべき相手は失業者であり貧困層。金融緩和と財政出動で好景気にして彼らを救おうというのは非常にシンプルな考え方である。

そしてそこには自由市場に対する道徳的な拒否感というものは無い。あるのは明確な目標とそれを現実に落としこむ明確なプロセスだけである。

一方日本では自民党が半世紀近く政権を独占しつつけてしまった為に、左派は強い道徳的信念と現実の折り合いをつける経験を積むことができなかった。

その結果、日本の左派が掲げる目標は一応あるものの、それは『反自民』『反官僚』『反米国』といったプリミティブなものに留まり続けた。

利益を与えるべき相手は誰なのか?その為にはどのようなプロセスを取るべきなのか?それが定まっていない日本の左派は結局個々の現象にたいして場当たり的に道徳的な判断を下すことしか出来ない。

金融緩和?お金をジャブジャブにするのってなんか良くないよね、はい金融引締め。財政出動?これだけ借金あるのに将来につけを回すの?ハイ財政緊縮。円安?株高?恩恵があるのは大企業や金持ちだけでしょ、トリクルダウン失敗したじゃない、そもそも人口減ってるから経済成長自体無理だよね。ハイ経済成長不要論。不景気で格差が広がってる?じゃあ貧困層に直接お金を上げましょう、でも財源がないね、ハイ増税。あ、でも庶民の生活守らないといけないね、ハイ増税反対・・・・

チグハグというか無茶苦茶だが、民主党から共産党まで言ってるのはだいたいこんなものだ。倫理観で場当たり的に賛否を決めるから全体に整合性が無くなっていく。

日本の左派は政治的に未熟ゆえに未だに明確な目標もそれを現実に落としこむプロセスも確立していない。

リフレ派による左派disはこの部分を揶揄しているのだろう。失業者や非正規の人々を助けたいと言いながら、何故日本の左派は必要なプロセスである金融緩和に反対するのか?本当に弱者助けたいのか?と。

■安倍に対する拒否感

日本の左派がリフレに反対する3つ目の理由は簡単だ。

行なっているのが安倍だからだ。

リフレであろうとなんであろうと右翼の安倍がやってるだけでアウト、ただそれだけ。



なんか気づいたら、日本の左派は何故リフレが嫌いか、に限定されない答えになってしまった。

むしろ日本の左派は何故経済成長が嫌いかのほうが良かったかもしれない。

なぜ日本の左派は経済成長が嫌いか―

それは政治的に未熟ゆえに左派が持つ強い道徳的信念と資本主義経済システムの折り合いが今になってもつけられていないからである。あとアベノミクスについてはこれプラス安倍がやってるから。

なのではないだろうか。