【国際】中国の防空識別圏は中国なりの対日融和策だった?

防空識別圏設定関連の論説を掲載(今日の『人民日報』-20131127)
http://blog.livedoor.jp/sasashanghai-tokyo/archives/35187345.html

 この中で、「安全の相互信頼の促進、周辺国家との良性な相互行動を促進に寄与する」という文言に注目したい。設定が日本への圧力であることは間違いないが、18期3中全会終了直後の設定というタイミングに、日本への対話のメッセージが含まれているのではないかと思っている。それは、遠くない時期に開かざるを得ないであろう軍事的なホットライン設置の協議。これに備え、中国はまだ設置していなかった防空識別圏を設置して、すでに設置している日本と対等の条件を整えておこうとしているのではないかと思えるのである。又これを設置することで、日本に協議に前向きになってもらおうとしているのではないかと。

中国の防空識別圏が如何に非常識で世界の反発を招いたかという分析はあちらこちらでなされているが、何故中国がこのタイミングでこういう手に出たのかということについて触れられているものはあまり見ない。

その中で『今回の件は中国から送られた関係改善のサイン』という佐々木智弘さんの見立てには頷かされるものがあった。

私も今回の防空識別圏が中国の野心を丸出しにした危険なものという多くの論調に対して違和感があった。

なぜならCCTVが半沢直樹の放送を検討しているというニュースを見たからだ。

CCTVが半沢直樹を放映か 文化交流で中日関係改善
http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2013-11/27/content_30723860.htm

日本組合学会(UA)第三次訪中団も参加して行われた中華全国総工会中国職工対外交流センター主催の座談会の記事だが、その席でCCTV(中国中央テレビ)の人間が半沢直樹放送をTBSと交渉していると発言したのだ。

まあ国際的な反発を受けて急に軟化姿勢に転じた可能性もあるが、防空識別圏の発表がされたのは23日、この座談会が行われたのが26日。たった3日で政府の方針がガラッと変わるとも思えないので、国営放送が日本のドラマを流すという事を防空識別圏発表前から検討していたとなると中国政府が日中文化交流を進める事を前から許可していた事が伺える。そうなると防空識別圏の話が中国側にとって日中関係改善のライン上にあると考えても不自然ではない。

ちなみにこの件、半信半疑だったのだが日本でも報道されたので事実なようだ。

「倍返し」中国で? 国営テレビが「半沢」放映権交渉中
http://www.asahi.com/articles/TKY201311290340.html


そして中国側ははっきりと日本側に「協議」を呼びかけ始めている。

「日中の意思疎通強化を」と中国外務省 協議要請の可能性も
http://sankei.jp.msn.com/world/news/131129/chn13112919080011-n1.htm

日中経済交流は前進を 楊国務委員が玄葉前外相に
http://sankei.jp.msn.com/world/news/131129/chn13112918180010-n1.htm

うーん、こうしてみると『尖閣棚上げ』を日本が認めるまでは一切交渉に応じないと突っぱねてきた中国が一歩引き、防空識別圏での協議を日中関係改善の場にしよう中国側からの落しどころの提案をしてきたのではないかと私には思える。

勿論日本側にしてみれば通常の防空識別圏だとしても現状よりも後退する事に違いないので中々受け入れがたいが、『尖閣棚上げ』を認めることに比べれば落しどころとしては十分『アリ』だったろう。

ただ中国式防空識別圏が国際ルールから酷く逸脱したものであった為に、米国の強い反発を招いた上に中国は文字通り世界を敵に回す状況に陥ってしまった。

中国指導部と国防部の防空識別圏を巡る真意ははっきりしないが、好戦的なものではなく関係改善に向けた中国側のサインを送る際の大ポカだったとしたら中々気の毒な感じもしなくはない。

しかし相手が大きなミスを犯せばそこを突くのが争いごとの鉄則。

今回の件で世界中に印象付けられた野心を抱く中国像は大いに利用できるものだ。

中国の脅威を世界に喧伝し中国包囲網や集団的自衛権容認など徹底的に利用すべきだろう。

日中関係改善は早いほうがいいと思っていたが、この調子だと急がなくてもよさそうだ。